筆記具について
勤め人の時、なぜ、胸ポケットに誰も筆記具をしていないのか不思議に思っていたら、スーツの内ポケットに筆記具を持っているのだった。それに気がついたのはほんの勤めを辞める数年前のことで、内ポケットには手帳、胸ポケットにはボールペンというスタイルでずっと仕事をしていた。これはいかにも安サラリーマンという風情で、それはとくに外れてもいず、胸元をパンパンにして得意先回りをしていた。そういえば、パーカーのペンはペンのフック?が矢の形になっていて、すぐに分かる。私が勤めを始めた昭和後期は、たしかあの矢をスーツの胸元によく見た気がする。その当時は、まだスーツの胸にペンを刺していたのだ。ビジネスのツールにも流行がある。分厚いシステム手帳。インデックスがついて、きれいにそれが斜めに整っている。几帳面な人。仕事が遅かったりする。あるいはそれに注力して肝心なところが抜けているとか。私はずっと支給の手帳とボールペンを使っていた。が、途中からダイアリーが主の薄い、派手な色の手帳に変えた。胸元がかさばるからだ。夏のクールビズ、みんな手帳をどこに持っているのか。私はずっと胸ポケットなのでそこにないと落ち着かなかった。すべてを携帯、またはスマホで管理するという方法もあっただろう。しかし、やはり手書き派には移行に労力がかかる。さすがに文章を書くのは手書きではなくなったが、何にしろ紙と書くもの、それは身近に欠かせない。356
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