中途半端
中途半端という言葉にいい印象は全くない。しかしながら実際には、何かを始めたときにその道を極めるということはおそらく通常、ない。どこが極点なのか分からないし、おそらく極めたと思っても必ず上には上がいる。しかし、中途半端は悪として教育される。おそらく、教育の途半ばの自ら修行中の目上の人たちに。始めたからには極めなくてはいけないと誰もが口をそろえる。上昇、上達あるのみ。投げ出すことは逃げと見なされる。挫折と烙印を押される。何をやっても中途半端で投げ出す。そのような態度はよくないとされる。逆にいえば、何をやっても極めるところまで到達しないと気が済まない人もいる。ストイックに、日々常人以上の努力を重ねる。努力が習慣となり、具合が悪くても無理をしてがんばる。誰もがその努力を認め、感心し、たたえる。すごいね、と言われる。たとえ、二番手になったとしてもその努力は誰もが認めるところだ。次の試合でもあるいは大会でも、または会社のコンペでも、いい線に付ける。もう少し、もう少し。よりよくはなっている。僅差。ある日、彼彼女は続けていたことを突然やめる。中途半端にすら何もしなくなる。抜け殻のようになって、寝て起きて食べて寝る。次の日も寝て起きて食べて寝る。生きる。寝て起きて食べて生きる。
0 件のコメント:
コメントを投稿