過去の栄光
おそらく、退職後の世界を生きるに当たり、一番やっかいになるのは自分のしてきた仕事の業績や、地位、それらの物を捨てられない執着心ということになると思う。大企業の上層部だった人はそもそも退職後の世界という物を別の次元で過ごすのだろう。だが、そんな人はほんの一握り、大企業だろうが部長だろうが課長だろうが、そこにいたと言うだけの元課長、元部長となる。大きな会社に勤めて、それなりの地位についた。それは大変な苦労とやりがいを感じたことだろう。自分がいった一言で大勢の人間が動くということもあっただろう。しかし、その立場がなくなればそのような事象はなくなる。たとえば、幸いにして老人コミュニティなどに入って、上手くやっていける人はそんなことおくびにも出さない。聞かれてようやくしぶしぶ答えて、聞いた方が「すげぇ」となるケースがほとんどだ。過去の栄光で威張るとみんなから煙たがられる。嫌われて人の輪に居づらくなる。陰口を叩かれる。しかし、会合にはなんとしても参加して、ともすれば部下のような人間を勝手にしつらえて権力を握ろうとする。しかし、そんなことはうんざりだし、特に、その輪に女性がいる場合確実に本嫌いされる。権力志向で見下されるのが女性は大嫌いなのだ。ということでどうしても自分のすごさを人々に知らしめたいなら、駅前広場で自分がどのくらいすごい人間だったか小一時間演説する用意と想像をしてみればいい。もし実行に移したのならそれはそれで過去の栄光に武勇伝が一つ加わる。
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