師走と言えば、挨拶回りの季節だ。担当の頃はカレンダーを持って、一日に回れるだけ、次から次へと得意先を訪問して歩くこのシーズンが好きだった。世間が忙しいと言うほど忙しくもなく、売り掛けの回収などというような業種でもなかったので、何となく忙しい振りをして、今年も一年まあなんとかしたな、という気持ちで飛び回った。そのうち、役も付いててカレンダーもそれほど必要となくなり、また、制度的に五日間強制的に休まなければいけない制度ができたので、年末年始の休みにつけて十何日という連続休暇を取るようになった。つとめていた頃は本当にこの休みが待ち遠しくて、カレンダーに、この日は掃除、この日は古本巡り、この日は投資の年間の整理、などと書き込んで休日を有効に使おうと計画した。しかし、一日ぶっ通しは疲れるので、合間合間にノープランデーを入れて何となく一日寝ていたりした。何度も書いているが、休みが楽しみな気持ちと休みの日に何かを一段落させた充実感は勤めをしていてこそ強い。そして、休みの残りが少なくなるにつれて仕事の日々日常を思い出して気が重くなり、楽しみすら心から楽しめなくなる。明日から仕事という日にはもうどんよりと気が重く、できればもう二度と家から出たくないとも思う。布団にくるまって過ごしていたい。心からそう思ったが、それはきっと私にも職場にも不幸なことだったのだろう。今では、私の役目を誰かがしっかりと受け継いで私よりうまくやっているはずだ。私は私で、好きでもない仕事を強制されることがなくなり本当にせいせいしている。というわけで特に師走でもあわただしくもなく、今年はとりあえず年越しを平和に迎えられると思いたい。いろいろときな臭い世界情勢なのでその思いひとしおだ。
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