失敗できない実験1
失敗できない実験
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基本的に個別株をやらない。以前はやっていた。みるみるうちに株価が十分の1になったこともしばしばで、気分でかって気分でナンピンして塩漬けする。こんな調子ではどんどん資産が減ってしまう。もっとひどかったのはFXだ。当時はレバレッジ400倍の時代だったので、余力いっぱい建ててしまう。FXを始めた夏、子供たちとプールに行った。真夏の太陽の下で、為替の変動におびえていた。リーマンショックの年だ。何度か、気を失う様なショックのロスカットを経験した。ショッピングセンターを一家でさまよった。子供たちは楽しげだった。妻も別になんの気にもとめていなかった。私だけがすこし薄い存在となっている様な気分で歩いた。その負けは今も尾を引いて薄れはしたがたまにあのときの感覚だけ思い出して眠りが浅くなる。リーマンの時はほぼ、フルインベストメントだった。個別株の代わりに投資信託をやっていた。個別株に比べてボラティリティが低いと思ったからだったが当時は中国株投信を主力にしていて、毎日、含み損が五パーセント、十パーセントと恐ろしい勢いの下りのエレベーターだった。なすすべなくフリーフォールに身を任せ、思考は完全に停止していた。その状態は何ヶ月か続きあとにようやく中国の財政出動の発表により底を打ったのだった。売買はリーマンの前にすべてしてしまっていたため、含み損がその後長く続いた。が決済はしていなかったので口数はそのまま残った。
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