弱小個人投資家は
出社しなくなり一週間が過ぎた。小説家は物語を綴り、画家はキャンバスに向かう。詩人はたぶん生活できないので大学で教えたり勤め人をしたり、自営したりでどこかへ行ったり行かなかったりする。弱小個人投資家は・・・座椅子に座り、テレビを二台ともしてエクセルに向かいながら生活費の算段をしている。朝の起き抜けから九時頃までが一番捗がいく。一月の決算をしてみると全体ではわずかなプラス、ヘッジが大きく働いたせいでなんとかマイナスにはならなかったが、主力は円の動きが大きく響いて大幅なマイナスだ。リーマンショックの時は完全に思考が停止して唖然となにもさわれなかった。日々5パー7バーと減っていく資産の数値を確認しながら投資なんてするんじゃなかった・・・と後悔しつつ後には引けないこの道しかない、と尾崎放哉のようなことをつぶやきつついざとなれば退職金があるさ、と堪え忍んでいたのだった。
いま、手持ち資金でまず毎月の生活費の工面の算段を行い、これからくるおおよそでしかわからない退職金を当てにして自分の頭のみで生活していくという実験をしていこうという私が、頭脳明晰なはずはない。冷静に考えれば勤めを続けて身分と月の生活保障があった方がはるかに計算上得策であることはわかっているのに、自由を選んで、選んではみたものの、自由に付随するさまざまな社会的重圧や家族への責任、金銭的な無保証がその分倒れてきたポリカーボネードの波トタンのようにうっとうしく心持ちにもたれかかっているのだから我ながらあきれる。
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退職当初の話です
4年も無職だと何もかもどうでもよくなってきます
いい感じに生活できてます
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