時間の経過
時間は買えない。数少ない平等。時間を買うためにはいくらでも払う、というとき時間がほしくて買う、と考えてしまうのだが、時間を早く進めるために時間を買うと言うこともあり得ると今更ながら思いついた。心が傷ついた。悲しみの底に沈んだ。時間が解決。その解決の時間を買う。買ったら時間が三十年過ぎている。三十年あればたいていの悲しみも消える。または薄れる。思い出にすらなる。しかし今度は自分の残り時間が少なくなる。今度は時間を延ばすために買いたい。しかし、時間は買えない。過ぎてみればあっという間に時間が経っている。それでも覚えている。変わらない。そのまま。そんなものが長い時間の中でいくつ残るか。それもいつかすべてなくなる。思いは見えない。手に取れない。書いてみる。電源を切ったとたんにしぼむ電子レンジの中の食物の膨らみのように書いたとたんに思いはひしゃげる。ひしゃげて残る。読まれる間は。
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